ぶたろうノート

棋力向上のための覚書

最近の一手損角換わり

豊島将之七段は、著書『豊島将之の定跡研究』一手損角換わりの項で「先手の早繰り銀に対し、後手は第1図のように進めるのが主流となっている。」と書いています。

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 この本が刊行されたのは2011年1月。今から約3年ほど前です。現在も一手損角換わりは時折見かけますが、将棋連盟モバイルで中継を観ている限りだと、第1図のような形は主流ではなくなっているのではないかと感じました。

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A図は、2014年3月31日第27期竜王戦4組ランキング戦及川拓馬五段-村山慈明七段戦です。コメントでは「飛車を回って攻めをけん制する。一例は▲2六銀△4五歩▲3五歩△4六歩。3七銀が前に進んでいきたときに4筋の不交換から、飛車を使って戦おうという手だ」とあります。

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 B図は、2014年3月24日第27期竜王戦ランキング戦1組5位決定戦1回戦、深浦康市九段ー阿部隆八段戦です。「棒銀対策の四間飛車。4筋から反発を狙っている。また振り飛車にしたことで玉を右に囲いやすくもなった。右玉なら棒銀から遠ざかることができる。」とコメントにあります。

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C図は少し遡って、2014年1月23日に行われた第22期銀河戦本戦Gブロック6回戦阿部光瑠四段-糸谷哲郎六段戦です。

この3局の共通点は、後手が8筋の歩を突かず、4筋に飛車を振ったという点です。何となくですが、8筋の歩を伸ばしても、あまり有効ではないと考えられ、飛車を振るような流れになっているのではないか、と推測しますが、詳細なところはわかりません。

上述の3局はいずれも後手が負けてしまいましたが、糸谷哲郎六段は先日の王将戦一次予選の藤原直哉七段戦でも一手損角換わりの序盤から、勝利を収めました。

この辺りの一手損角換わりの変遷について、勝又清和六段にぜひ解説して欲しいところです。