ぶたろうノート

棋力向上のための覚書

Ponanzaの現在の課題 (1) コンピュータの持ち時間の使い方について

電王ponanzaに勝てたらノートパソコンプレゼント! 挑戦者求む![ドスパラ大阪・なんば店]」という番組から、斎藤慎太郎五段が森下システムについて語った部分を取り上げました。今回は、同じ番組から、Ponanza制作者の山本一成さんがコンピュータの時間の使い方について語った際の発言を掲載します。「イベントでは166連勝したし、化け物のように強いソフトなのにまだ課題があるのか?」と思ったのですが、そんな単純なことではないようです。

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Ponanza切れ負けの可能性

斎藤「ちょっと気になることがあるんですけど、Ponanzaの方が時間切れしてしまう可能性ということはないですか、ありますか」*1

山本「厳密には保証してなくて、切れちゃうかもしれないですけど」

斎藤「そうなんですか、今はPonanzaの方が時間を使ってますか」

山本「使ってますね。12分使ってます」

斎藤「ああ、そうですね」

山本「でも、コンピュータなんで、なかなか切れちゃうことはないんですけど」

斎藤「時間ギリギリになったら早く指すとか、そういうふうに組み込んでいるとか、そういう感じですか」

山本「そうですね、そうしないと切れちゃいますからね」

斎藤「常にゆっくりというわけにはいかないですよね。序盤は割とちゃんと考えるように設定してはりますか? そういうのはないですか」

山本「他のコンピュータ・ソフトも一緒だと思うんですけど、だいたい残り時間の何十分の一みたいな感じでコントロールしてるんですよね」

斎藤「あぁ、そうなんですか。長い持ち時間のときでも、それを使ってることはあるわけですか」

山本「多分…それが15分だったら、15分の割合で。電王戦は5時間ですよね。5時間だったら、その割合でみたいになってるんですよね」

持ち時間の使い方は課題のひとつ

斎藤「電王戦の5時間の対局だと、序盤にすごい考えてるように思うのは、あれは多分設定してるんですよね、そのくらい考えるように。そうじゃないと考えすぎかなというくらいなんでね」

山本「いや、ただ、これ、難しいんですよね。序盤何分考えれば良いのかわからないんですよ」

斎藤「そこはもう試行錯誤してはるんですね。持ち時間の面はもちろんですけど、他の面とか…」

山本「そうですね。でも、持ち時間を上手に使えれば…全然考える必要がないところでいっぱい考えて」

斎藤「考える必要がないところで考えるのは、損といえば損ですよね」

山本「持ち時間を上手に使えれば、思考時間2倍に匹敵するような改善なんで、かなり頑張りたいところではあるんですけど」

斎藤「やっぱり、コンピュータ・ソフトも持ち時間が長い方が強いんですよね」

山本「それはもちろんです」

斎藤「全然違うんですよね」

山本「長ければ長いほど、すごく嬉しい」

斎藤「確かに、持ち時間の使い方はひとつの課題ですか」

山本「かなりの課題なんですけど、どうやってコントロールすれば良いのかまったくわかんないですよね」

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持ち時間の使い方が、Ponanzaの課題のひとつであることが語られています。コンピュータも、時間をかけて考えれば考えるほど、精度の高い手を指すことができます。では、どの場面で持ち時間をかけて考えるべきなのか、ということに関してはどうやら設定が難しいようです。

ちなみに、やねうら王の制作者である磯崎さんは、電王戦トーナメントの対ponanza戦で、序盤に時間を割くように工夫されていました。(下記は参考動画)

コンピュータの持ち時間の使い方は、現在のコンピュータ・ソフトの課題のひとつのようです。

 

*1:このイベントでは、対局は20分切れ負けの条件で行われた。