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ぶたろうノート

棋力向上のための覚書

大平武洋五段 早指しと中学生時代について

大平武洋五段は、昨年度、第21期銀河戦で本戦トーナメントに進出しました。また、第7回朝日杯将棋オープン戦でも中村太地六段、行方尚史八段らを破り、本戦トーナメントに出場しました。持ち時間の短い棋戦で、特に力を発揮するタイプと言えそうです。

将棋ウォーズの番組で大平五段は、10秒将棋を指すことになったのですが、どうやら早指しは昔から得意だったようです。番組のなかでは、こんなやりとりがありました。

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山口「今回は、大平先生と言えば、例の伝説が有名ということで。ZONEのコンサートに行きたくて、持ち時間をまったく減らさずに指して勝利した、伝説の早指しの一局。そんな大平先生に、最近対局条件に追加された10秒将棋をガチでやってほしい、という林社長のリクエストで」

林「そうですね、ありがとうございます!」

大平「(小声で)…はい。いや、10代のときは結構自信があったんですけどね。プロになる前は誰とやっても、まあまあ良い勝負できる自信があったんですけど。いや、さすがに年をとってからは、ちょっと10秒将棋…やる機会もめったに…大分減りましたしね」

林「ちなみにわたし、台本には書いてないんですけど、大平先生とやったことがあるんです。教わったことがありまして」

大平「あ、そうですか。いつごろですか」

林「あのね…第15回中学生名人戦

大平「それはまた随分昔ですね。20年くらい前」

林「20年くらい前にやりまして。ベスト16か8だったんですよ。で、わたし居飛車穴熊。大平さんが立石流だったんです。もうボッコボコにされて。居飛穴、もう姿焼き状態でしたね。当時は立石流一本でしたよね」

大平「立石流が….そうですね、まだ世にでる前というか」

林「そうなんですよ!」

大平「こっそり使って優勝して、立石さんに怒られましたね。『俺ですら優勝したことないのに』って」

林「わたし、めまいして…気づいたら、もう終わってたんです。局面がまったく勝負どころがなくって。『何だ、この戦法』と思ってですね。そのまま、今仰られたように、破竹の勢いで断トツの優勝でした」

大平「あの時、一番良かったですね。その時の決勝の相手が、佐藤紳哉さんだったんですよ。同い年で、同期で」

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話題に上った第15回中学生名人戦の決勝について、将棋年鑑 平成3年版を開いてみると、以下のように書かれていました。

決勝は大平-佐藤戦となったが、大平君が角道を開けたまま四間飛車に振るという1年生にはふさわしからぬ大胆不敵な戦法をとる。

佐藤君も落ち着いて対応したが、早めに持ち時間を使い果たし、飛車交換の乱戦になった頃には30秒の秒読みになっていた。

(中略)

大平君の消費時間はわずか10分。

強気と早指しで勝ちとった中学生名人といえるだろう。 

持ち時間を10分しか使わずに優勝するなんて...。これも大平武洋伝説のひとつに加えてほしいです。

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第1図の局面について、将棋年鑑棋譜のコメントには「ハメ手みたいな手。一発勝負用か」と書かれています。この頃はまだ立石流が知られていなかったことが、コメントからもうかがえます。また、角交換四間飛車がよく指されている現在、この局面で上記のような感想を持つ方はまずいないでしょう。

早分かり 角道オープン四間飛車 定跡ガイド (マイナビ将棋BOOKS)
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 ちなみに下記がトーナメント表です。

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あれ、林さんはどこ...?